■ 氏名 |
金城 傑 (きんじょう すぐる) |
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■ 生年月日 |
1955年6月12日生まれ |
■ 出身地 |
八重山郡竹富町字小浜 |
■ 略歴 |
高校生のころ、ふと手にした建築雑誌に興味をおぼえ、次第に建築に引かれていく。
1980年 東京電機大学 工学部 建築学科 卒業
1980年〜1991年 県内設計事務所勤務
1991年 (有)K・でざいん 設立
現在、街づくりや陶芸にも 興味を覚えながら、建築の仕事を続けています |
■ 大事にしているもの |
家族、建築という仕事 |
聞いてみました! |
―住宅の設計を依頼したい人が訪ねてこられた時、どんなお話をされるんですか? |
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金城さん ひと通りの挨拶を済ませた後は、その方たちの住まいへの思いや建てようと思ったきっかけ、住まいや暮らしに対する考え方を聞きますね。といっても、難しい話じゃなくて、どんな感じの家を建てたいと思っているとか、庭は広い方がいいとか、玄関は広いほうがいいとか、どんな花や木が好きかとか。おしゃべりのような感じで本当にいろいろなことを聞いていくんです。
建築士は、まずは聞き出すことが仕事だと思っているんです。建築士から建てたい人へのインタビューですね。そうして聞いていくうちに、漠然とわかってくるような気がする。それを自分なりに解釈して、スケッチや図面を描いていく。プランの出来を決めるのは、おしゃべりを通して「その人をどれだけ理解できるか」ですね。自分がその人のことを間違って理解していたら、出来上がった設計プランを見て、お客様は「OK!」とは言わないでしょう。
私の建築士としての生涯目標は、一発で設計プランのOKをもらうことなんです。(笑) |
―金城さんがつくる住宅を見ると、いろいろなタイプの住宅がありますね。 |
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金城さん そうですね。建物の構造もコンクリート造、鉄骨造、木造、なんでもやりますよ。形やスタイルもさまざまです。私自身、好きな形やスタイルはありますが、お客様にはお客様のニーズがありますからね。その人が生活する場所ですから、その人に合った建物でなければ。家を建てたいと思う人の大部分は、建築のことはよくわからないという方たちです。「私はこの構造しかできません」とこちらから言うよりも、たくさんの選択肢があった方が、より自然に家をつくっていくことができるんじゃないかな。
建築の仕事は積み重ねだと思うんです。いろいろな仕事を通して、いろいろなものを積み重ねていく。60歳になってやっと、一人前の建築家になる、といわれているんですよ。 |
―金城さんの建築のテーマとして、“環境と共生する建築”ということをあげていらっしゃいますね。 |
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金城さん 一本の木が作り出す木陰は、とても気持ちいいですよね。建物も、特に住まいはそうありたいと思っているんです。流れる風や差し込む光を感じることができるようなものであってほしいです。エアコンだけで過ごすよりも、窓を開けて過ごせるようにね。また、周囲が緑豊富な場所であれば、その景色に溶けこむような建物がいい。
住まいは、そこに住む人たちが人生を全うするための“箱”だと思うんです。そこに帰ってくると気持ちにエネルギーを与えてくれる、ライフワークの手助けをするようなものであってほしいですね。 |
―ありがとうございました。これからもいろいろないい住宅をつくり続けてくださいね。 |
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親しみやすい雰囲気が漂う金城さん。穏やかな口調が初対面の緊張を解きほぐしてくれました。
金城さんが設計された、いろいろな構造や形の建物を見て、「僕にはポリシーがないのかな」と笑ってお話ししていましたが、あらゆるニーズに柔軟に応えられる受け皿の広い方だなと思いました。 (編集部) |