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TOP住まいづくり情報一覧お住まい訪問記> Vol.040 Oさん宅 

   
 
2012.10.01 UP
設計:アトリエKUU建築工房

住宅外観
玄関。右側はアトリエ、左側は主寝室と子ども室があります。
仕事スペースと生活スペースを左右で分けました。突き当たりの階段室の窓から空へ視線が抜ける気持ちいい玄関です
ともに東京出身のOさんご夫婦。以前はアパート住まいで室内の一角をアトリエとしていたそうですが、お子さんの誕生を機に住居とアトリエを分けました。

「家賃がダブルになり維持費も増え、考えていたよりも負担が大きくなりました。支払っている2カ所分の家賃で少し広めの賃貸の一戸建てを検討したり、中古住宅の購入も考えたのですが、土地を購入して住宅を建て、ローンを支払っていくことも可能だということに気づき、それからは土地探しに奔走するようになりました」
Oさんは住宅の新築に至った経緯を話してくれました。

土地探しの条件は奥さまの職場に近く、生活環境が整っているところ。木工アトリエからは工具の音や塗装のにおいも発生することから、密集地は避け、混み入っていないところが理想です。

また、建築に際して地盤整備が必要な場合でも、整備料金を含めて土地代は1000万円以内ということも念頭におきました。

「不動産情報誌やインターネット、不動産会社からの情報はもちろん、とにかく足で探し回りました。バイクが趣味なので、あちこち走りながら、住み慣れた浦添市内だけでなく那覇市や豊見城市方面まで範囲を広げてくまなく見て回りました」

現在の土地は、数年前にハウスメーカーが分譲開発した地域に保留地として残されていた場所。
周囲は一戸建ての住宅が整然と並び、目の前には公園、土地の向こう側には豊かな緑と遠くに海も望める場所です。

「すでに開発が終了していて、建築するにも手がかからない土地。住環境も整っていて、ある程度ゆとりを持って建てられる理想の場所でした。苦労して探した甲斐がありました」と、Oさんはこの場所に出会った頃を振り返ります。


沖縄では鉄筋コンクリート造(以下、RC造)の建物が全体の約9割を占め、家を建てる場合にもRC造が多いのですが、東京出身のOさんご夫婦にとっては「鉄筋コンクリート造の建物に“住む”という概念があまりなかったんですよね」と話します。

「小さいころから木造の家で育ったので、住むのは木造の家が当たり前でした。沖縄に越してきてRC造のアパートに長く住んでいましたが、自分たちで家をつくるならどうしても木造だったんです」

沖縄では台風の影響やシロアリへの対策など、県外とは違う自然環境に対応した家づくりが求められます。Oさんご夫婦は、それらについても情報を集めて勉強し、家づくりを考えたのだそうです。
1階洋室。主寝室として利用する予定
1階和室。子ども室として利用する予定

 

木造で家づくりを行ってくれる依頼先を探すために、情報を集めましたが、「木造を手がける建築士さんは少なく、ハウスメーカーも少なかったんですよね」と振り返るOさん。
知人のつてで知り合った大工さんの紹介で一人の建築士さんに出会い、家づくりをお願いします。

「まだ土地も決まってない頃だったんですが、手がけた住宅を見せてもらって、『ここに頼みたい!』と直感。でも、一度お断りされたんです(笑)」

そのとき出会ったのが羽生幸美さん(アトリエKUU建築工房)です。
羽生さんは、「Oさんご夫婦が希望している木造の住宅は私にとっても初めてで、予算や期限が限られているなど条件も厳しく、ほかの現場も進行中だったので最初はお断りさせていただいたんです」とその時の様子を話してくれました。

「でも、どうしてもわが家の設計をやってもらいたかったので、その後は懇願し続けです(笑)」とOさん。

「Oさんご夫婦の熱心さと一生懸命さに、こちらもいろいろ調整して、『ではやれる方法を考えてみましょう』ということになったんです」(羽生さん)。

その後、Oさんご夫婦の周りには、ご夫婦とと羽生さんが出会うきっかけになった大工さんをはじめ、建築、電気、水道など、工事に関わることになる人々が続々と集まり始めます。
「家を実現するにはどうしたらいいんだろう?」
情報を集めたり、人を訪ねて話を聞いてもらったり。いろいろな人に相談しているうちに知り合いや紹介を通じて徐々に人が集まりだし、みんなでOさん宅をどうしたら実現できるか、知恵を出し合ったのだそうです。そうしているうちに「これならできる!」となったのだそう。

コストダウンにつなげる工夫を考えたり、職人さんたちのスケジュールの組み立て、いろいろなことを一緒に検討しながらOさんの家づくりが前進していきました。

「皆さん、本当に快く考えていただいて、とても恵まれました。
3Dソフトを使って自分なりにプランニングしていたんですが、羽生さんのプランを見せてもらったときには目からウロコが落ちる思い。プランを見ているだけで生活が見えてきたんです。
工事が始まると現場に通うのがとても楽しかった。家づくりにはいろいろな人が関わっているんだなととても実感。施主と職人さんたちが話すことなんて、普通の家づくりじゃあまりないことかもしれませんが、うちは皆さんと本当によく話をしました。家が完成するまで、とても楽しく過ごさせてもらえました。それだけに工事が終わると、皆さんに会えなくなったことがとてもさみしかった。安心してお任せすることができて、いい家をつくってもらいました」

Oさんご夫婦の家づくりに対する一生懸命さが、建築士さんや工事に関わる人たちをつなぎ、実現へと結びつける力になったようです。
家が完成して半年が過ぎ、Oさんご夫婦は住み心地を実感しながら、家づくりに関わっていただいた皆さんへ感謝の気持ちを改めて語ってくれました。
階段室の窓からは緑の景色を望みます
2階LDK。片流れ屋根の形状を生かして高窓を設置。通風と採光を確保
静かな住宅地、オレンジ色の瓦を載せた片流れ屋根が印象的なOさん宅です。

1階は玄関ホールをはさんで右側にアトリエ、左側に主寝室と子ども室があります。2階にLDKと水周りを置き、家族のスペースとしています。

敷地の南側が道路と接しており、北側に緑が広がっているため、大きな開口部は北側に向かって設けられました。階段室の窓は緑と青空と、遠くに望む海が額縁に納められた絵のように見えます。

2階LDKは、片流れ屋根の形状をそのまま生かしたのびやかな空間。高さを生かして上部に高窓を設け通風と明るさをプラスしています。
リビングから続く和室は床高を40センチほど高くしていて、段差部分には引き出し収納も設置しました。
キッチン周辺はトイレ、浴室、脱衣室、洗濯室がぐるりとひと回りできるようになっていて、家事動線がコンパクトにまとめられています。

室内の照明や水道栓、衛生器具はインターネットなどで安く入手したものを取り入れてもらいました。

全体的にはコンパクトなつくりですが、天井の高さや、開口部からの視線の抜けなどが奏功してのびのびと豊かな空間になっています。

「さまざまな要望も快く聞いてもらえました。住み始めて、使い勝手の良さをしみじみ感じています。ずっと前から住んでいたような感じがして、とても居心地がいい。雨の日もカラッとしています」

取材時、まだエアコンは取り付けられていませんでしたが、涼しくサラッとした室内でした。

室内は職人さんたちの仕事にOさんが手作りした部分が合わさり、そこここに家づくりの思い出が散りばめられて、温かい空気に満ちています。今後は、住まいながら少しずつ重ねていく家族の成長も味わいとなって、趣のある住まいに育っていきそうです。
リビングから続く和室。床高が40センチ上がっているので、腰掛けてベンチとしても。段差は引き出し収納に
2階トイレ 浴室側から洗面・脱衣室から洗濯室へ。洗濯室を抜けるとキッチンにつながります。洗面台下の収納棚や鏡はOさんが手作りしたもの キッチンから洗面・脱衣室、洗濯室はひと回りできるようになっています。水回りがまとめられて家事動線がコンパクトに

   

Oさん宅・DATA

家族構成 夫婦、子ども1人

設 計

アトリエKUU建築工房 (羽生幸美)
敷地面積  147.5 (44.61坪)
建築面積  69.22 (20.93坪)
述床面積 114.62 (34.67坪)
構 造 木造2階建て
用途地域 第1種住居地域
施 工  建築/(有)クレストライフ(末吉 誠)  大工/克内装(長間克広)  電気/E・マックス(比嘉正盛)   水道/丸栄電気水道工業
植栽 /Ru-ga(小出水 俊)

建築士・羽生幸美さん 談

Oさんご夫婦は、当初から具体的なイメージを持ち、ご自身で作成した平面プランやイメージ写真なども用意していました。予算との兼ね合いを図りながら、Oさんのプランを再検討。
都会にありながらも豊かな緑に囲まれた立地条件を生かして、限られた空間を広く見せる空間構成や開口計画のほか、職と私のゾーンをうまく分けること、使い勝手のいい動線を追求するなど、住まい手の視点に立ったプランニングを心がけました。

屋根は「切妻」から屋根の中心をずらした「片流れ」に変更。構造上、梁の支点間の距離が延び、梁せい(梁の厚さ)も大きくなるためコスト高になりますが、通風採光用のハイサイドライト(高窓)を設置したり、開放感をつくり出せるなど、コスト以上のメリットが得られるということで提案しました。

南側に大開口部を設けると強い日差しが室内に入ってしまうので、見晴らしのいい北側に大きな開口部を設置。LDKはプライバシーや眺望を確保しつつ、明るく風通しのいい空間になったと思います。

玄関ホールは、住まいの印象を決定付ける場所ですので、突き当たりの階段室に大きなFIX窓を設置して、視線の抜けや採光に役立てています。

木造の場合、1階の屋根の上にバルコニーを載せると、木材の経年劣化などにより、1階居室へ雨漏りする危険性が高くなるので、バルコニーは駐車スペースに突き出す形で配置して、グレードの高い防水塗装を採用しました。木造ならではの問題をクリアしつつ、外観のデザイン性にも配慮してOさんご夫婦の要望だったバルコニーを設置しました。

通常、施工業者と施主が直接やりとりすることはありませんが、今回は大工さんたちも施主の家づくりの熱意に触れ、「いいものを造ろう」というひとつの思いで現場が動いていたように思います。
メンテナンスについては、Oさん自身が木の性質をよく知っているので、末永く快適に住んでいただけると思います。

今回の取材を通して、どんなふうに住まわれているのかを見せていただくことができました。住まいへの愛着や楽しみながら住まわれている様子を拝見することができて、とてもうれしかったです。

2階LDK
インターネットで入手した照明器具

写真撮影:フォトアートたかの (高野 光)

 

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