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TOP住まいづくり情報一覧お住まい訪問記> Vol.039 Yさん宅 

   
 

設計:カワカミ設計

Yさん宅が建つ場所は、互いに譲り合いながら車が行き交う路地に面して、住宅が密集して建つ傾斜地。周辺は細い路地や一方通行道路も多く、古い団地などもある住宅地です。

10年ほど前に行われた実家の建て替えに伴い、実家の土地の約半分を購入しました。それから8年が経過し、Yさんの退職を機に家づくりがスタート。20年以上マンション住まいだったYさんご家族が、希望していた一戸建てを実現したのは2011年暮れのことです。


敷地面積約29坪。敷地の北側に道路が接しており、ほかの三方には住宅が密接して建っています。

道路に接している部分から地盤面までの高低差はなんと4m。南側には擁壁(ようへき)があり、その上に住宅が建っています。
東西の隣地も同じく道路から4mの高さに住宅が建っています。敷地が接する道路の幅は4.42mと狭く、車がすれ違うときにはどちらかが譲らなければ通れません。敷地から約60m先は行き止まりになった袋地でもあります。

必ずしも良好とはいえない条件に加え、西側に建つ実家の建て替え工事の際に、南側の擁壁が崩れた経験もある場所です。

設計者の川上一盛さんは、設計の基本プランが完成した際に友人の土木技師に、南側の擁壁に影響を与えずに安全に建物を施工する方法を相談しました。

「設計に入る前に地盤調査を行った結果、幸いにも杭工事を必要としない良好な地盤であることがわかりました。H鋼材を地盤に打ち込む山留め工事を行い、擁壁が崩れないようにすることで、安全に建物の施工ができることがわかりました」

Yさんも
「面積も広くなく、敷地に接する道路も幅が狭い道路なので、設計を依頼する前から家を建てるのは難しそうだなと思っていました。建てられるのか不安もありました。地盤調査の後、『建てられますよ』と言われたときはホッとしました」と振り返ります。

安心して施工できることが確認され、改めてスタートを切ることが出来たYさん宅。

約10カ月の設計期間後、難しい場所でも快く仕事を引き受ける施工会社も見つかり、いよいよ工事が始まりました。
「こういう土地だからこそ念をいれて慎重に。基礎工事が終るまでは眠れない日々が続きました」と振り返る川上さん。

「いい家を建ててあげたい」。設計者、施工者みんなの思いが通じ、安全に、無事、建物が完成しました。

 

リビングと和室
玄関(左)と玄関から2階へ続く階段
2階廊下 3階。正面のスリットの向こうは隣家。視線が合わないよう配慮 3階階段ホール。琉球ガラスからブルーの光がもれる 3階廊下。2階、3階とも廊下には本棚を設置。大容量の収納スペース
Yさんがカワカミ設計を訪れたのは定年退職して2カ月目のこと。敷地条件が厳しいこともあり、狭小地などで実績のある事務所を探していたところに情報紙で実例が紹介されていたのを目にして決めたのだそうです。家づくりは一緒に暮らす息子さんたちも積極的にかかわりました。

昨年12月に完成した住宅は、道路に接する部分に軽自動車が2台駐車できる車庫があり、居住部分は3階建て。
1階にLDKと和室、2階には個室が2室、3階には個室が1室と屋上に上がる外階段があります。
敷地29坪でも十分なゆとりが感じられる、落ち着いた室内です。

Yさんが新しい住まいに希望したのはオープンキッチンと屋上。
「お友だちを呼んだりしてキッチンを囲んでワイワイやりたかったんですよね」と話します。

現在、2階テラスにプランターをいくつか並べ、家庭菜園づくりにも挑戦中。庭はありませんが、テラスとベランダ、屋上が十分に庭の役割を果たしています。

屋上へ上がると、まちの様子がほぼ360度見渡せる眺め。「こんな景色が望めたとは」と完成したばかりのころは驚いた様子。夜は夜景を楽しめ、夏になれば遠くで花火が上がる様子も楽しめる、ぜいたくな場所ができました。

「建物の躯体が仕上がって、型枠がはずされたときは想像していたよりも小さい家かもしれないと思ったんですが、完成してみると結構広い。まだ住み始めて間もないので、これからがとても楽しみです」

窓からは風が通り十分に明るい、居心地のいい室内です。お気に入りの家具をゆっくり選んで一つずつそろえていく日々を過ごしています。インテリアを楽しみ、毎週新しい花を飾る。新しい住まいでの暮らしははじまったばかりですが、日々を重ねていくごとに暮らしの楽しみが増えていくYさんのお住まいです。

まちの様子を一望できる屋上
屋上へ上がる階段。壁から突き出す階段は幅55cm

   

Yさん宅・DATA

設 計

カワカミ設計 (川上一盛)
敷地面積  96 (29坪)
述床面積 126 (38坪)
建ぺい率 60%     容積率  200%
構 造 鉄筋コンクリート造3階建、地下1階(車庫8.5
用途地域 第1種中高層住居専用地域
施 工  建築/(有)セイシン住興  電気/(株)那覇電工
設備 /(有)沖設エンジニア  構造設計/(有)ジュンアソシエイツ

建築士・川上一盛さん 談

傾斜地に位置するこの住宅は、地盤面が前面道路より4mの高さにあり、南面には4.0mの擁壁とその上に住宅が建っています。東西の隣地も敷地を同じ4mの高さに住宅が建ち、前面道路の幅は4.42mと狭く、60mほど先は行き止まりの袋地となっています。

建物の工事をするには隣地地盤が崩れないように三面の境界線に山留め工事が必要でした。敷地の道路境界線近くには電柱があり、さらに敷地が4.0m高いことで工事車輌の搬入が難しく、工事そのものが非常に困難な条件です。設計に入る前に地盤調査を行った結果、幸いにも杭工事を必要としない良好な地盤でした。

最初の基本プランができ上がるとまず友人の土木技師に南側の擁壁底盤に悪影響を与えずに安全に建物を施工する方法を相談しました。その結果、駐車場の奥行きは当初よりだいぶ短くなりましたが、2台分の駐車スペースは確保しました。
山留め工事に用いたH鋼材は抜き取らずそのまま打ち込んでいます。山留め工事には約200万円の費用がかかっています。傾斜地に建物を建築する際は地盤の支持力が十分にあることと、それなりのコストがかかりますので十分その予算を準備する必要があります。

1階床下には基礎高さ1mを利用して床下点検口を兼ねた7坪ほどの収納スペースがあります。建物全体でも狭いながらも収納を十分確保しています。設備はオール電化、IH式コンロ、エコキュートを使用し、ダウンライトはLED照明を使用しています。

道路幅が狭いところでは道路斜線で建物が斜めにセットバックしている建物をよく見かけますが、この建物はそれを避けるために道路斜線制限による計画よりも建物の高さを高く計画できる天空率という手法によって、斜めのセットバックがない建物を実現しました。

建築前の敷地。隣地の地盤が崩れないように東・西・南側の境界線に山留め工事が必要だった。道路との境界には電柱もある。敷地が道路より4m高いので、工事車輌が入ることが難しく、工事そのものが非常に困難と考えられていました
模型
基礎の高さ1mを利用して設けた床下スペース。床下点検口を兼ねており、約7坪の広さがあります

写真撮影:フォトアートたかの (高野 光)


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